Special Feature 2014特集2014

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特集 SHINKA1

「自動車用酸素センサ」の深化

三元触媒※の排ガス浄化性能を制御し、大気汚染防止に貢献します。
※ 排ガス中の一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)を同時に酸化もしくは還元して除去する排ガス

酸素センサの変遷

開発担当からの声

新しい要素技術の確立を目指して

酸素センサの素子の機能を発揮させるには、貴金属である白金(Pt)が必要ですが、非常に高価な金属であり、センサのコストアップ要因になります。センサとしての機能面の保証とコスト削減を両立すべく、白金の必要最小量の見極めに苦労しています。内燃機関の歴史に比べ酸素センサの歴史はまだ浅く、その分使用方法や開発ターゲットにも未踏分野が残されています。新規分野へ対応するためにも要素技術を確立していきたいと思います。

自動車関連事業本部
センサー事業部 第2技術部
植松

排ガス浄化性能を制御

※エンジン中の空気(酸素)と燃料の混合比率。排気ガスが完全燃焼する(最もクリーンになる)時の空燃比を「理論空燃比」と呼びます。

大気汚染防止

酸素センサはエンジン始動後、できるだけ短時間で機能を発揮(活性化)することが求められます。当社の新型センサの活性時間はわずか5秒。世界的に厳しくなる排ガス規制にも対応します。

全世界で進む自動車排ガス規制の強化

地球環境保全の観点から自動車の排ガス規制は世界的に強化されており、日本、米国、欧州などの先進国に続いて新興国でも排ガス規制が段階的に導入されています。
特にディーゼル車については粒子状物質(PM)に加えて、窒素酸化物(NOx)の排出規制も一段と厳しくなり、乗用車やトラックだけでなく、建設機械や農業機械などのオフロード車でも排ガス規制の強化が予定されています。

世界各地域の自動車排ガス規制

※1 ポスト新長期:新車のトラック、バス、乗用車から排出されるPM(粒子物質)、NOx(窒素酸化物)のさらなる低減をはかるため、国土交通省によって制定された自動車排ガス規制。
※2 Tier2/Bin#5など:米国連邦政府直轄のEPA(Environmental Protection Agency)が管轄する排ガス規制。全11段階(Bin1~Bin11)にNOx規制値が段階化されている。
※3 Euro5など:EUで2009年9月に導入された排ガス規制。スポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)や小型商用車には2011年1月から適用された。

排ガス浄化システムを有効に機能させる「酸素センサ」

自動車(ガソリン車)の排ガス浄化を主に担っているのは「三元触媒(3-way Catalyst)」と呼ばれる装置です。三元触媒は、排ガスに含まれる3大有害物質(CO・HC・NOx)を酸化・還元によって同時に除去しますが、この処理がうまくおこなわれるには排ガス中の炭素・水素・酸素の量的バランスがとれている必要があります。
このバランスのとれた状態が「理論空燃比(ストイキオメトリ)」と呼ばれるもので、燃料が空気(酸素)によって完全燃焼している状態でもあります。
そこで重要な役割を果たすのが「酸素センサ」です。酸素センサが排ガス中の酸素濃度を検知し、その信号データをECU(エンジンを制御するコンピュータ)にフィードバックすることで、空燃比が常に理論空燃比付近に保たれ、三元触媒が十全に機能を発揮できるのです。

空燃比と排気ガス浄化率の関係

排ガス規制の強化に合わせ活性時間を大きく短縮

日本特殊陶業は、1980年代に得意のセラミック技術を活かし「ジルコニア酸素センサ」を開発して以来、排ガス規制の強化に対応して継続的に製品を進化させてきました。

酸素センサが機能するには、検知素子を一定温度(300°C~)まで高めて活性化させる必要がありますが、初期の酸素センサは排ガスの熱を利用してこれをおこなっていたため、エンジン始動から活性までの時間が数分近くかかっていました。しかし厳しい排ガス規制に対応するには、できる限り早く素子を活性化する必要があります。そこで当社は1980年代後半、センサ内にヒータを組み込み、自らの熱によって約20秒で活性化するジルコニア酸素センサを開発。その後もヒータ構造や素子の改良によって活性時間を早め、最新型ではエンジン始動後わずか5秒での活性を実現しています。

ディーゼル車にも使える「全領域空燃比センサ」を開発

ジルコニア酸素センサを進化させる一方で、当社はこれとは全く異なる独自機構によって検知をおこなう「全領域空燃比センサ」を1980年代に開発しています。

ジルコニア酸素センサが理論空燃比付近の酸素量のみを判定するのに対し、この全領域空燃比センサは理論空燃比からの偏差量を測ることで幅広い領域で高精度の酸素濃度検知が行えます。これによってより精密な空燃比制御が可能になるほか、それまで酸素センサでは制御ができなかったディーゼル車にも適用が可能となりました。

2000年代には世界的な排ガス規制強化を受け、この全領域空燃比センサにも改良を加え、ヒータと素子の一体化によって活性時間を5秒まで短縮した製品を開発。排気ガスのさらなるクリーン化に貢献しています。

モード運転時の発生空燃比の度数分布図

厳しいNOx規制に対応する「NOxセンサ」も提供しています

近年の厳しいNOx規制値に対応するには、高精度なNOx制御が必要です。
NOxセンサは、排気ガス中のNOx濃度と酸素濃度をリアルタイムに測定し、ガソリン直噴エンジンやディーゼルエンジンのNOx制御を通じて、省エネとクリーンエアーに貢献しています。

※所属・役職は2014年度当時