機械工具

Cutting Tools

1950年代後半、当社は、プラグ以外にもセラミックスの特性を利用した新製品の開発への挑戦を始めました。
その成果のひとつが、耐摩耗性を活かした部材の切削に使用するセラミック工具。以後、機械工具事業ではセラミックだけでなく、微粒子超硬合金や全く新しいカテゴリとなる新素材を開発するなど、常に新しい工具材の開発と用途開拓に取り組んでいます。

セラミック工具

Ceramic Inserts

1958年、かねてより研究開発をすすめてきた「セラミックバイト」を製品化しました。
セラミックバイトはコランダムの微細結晶の焼成体で、超硬合金より高速切削性があり、工具寿命においても仕上がり面においても数段優れ、高度の高い材料でも切削できる特長があります。
研究部門でいくつもの試作品を作り、切削テストを繰り返し、先行する旧ソ連製のセラミック工具に匹敵する高純度アルミナ製の工具を完成させました。
その後もセラミック工具の進化は続き、抗折力の向上や、高硬度で科学的安定性に優れた加工物をCVD*法によりコーティングした工具など、時代のニーズに対応しながら市場に送り出しています。

*CVD(Chemical Vapor Deposition):化学気相蒸着。物質に薄膜を形成する蒸着法のひとつ。原料ガスを供給して気相での化学反応により膜を堆積させる。切削工具の表面処理や半導体素子の製造工程において一般的に使用される。

サーメット工具

Cermet Inserts

1961年、セラミックと超硬合金の中間材質で耐摩耗性に優れた「サーメットバイト」を開発しました。これらは、コスト低減と生産能率の向上に貢献できる画期的な新製品として市場からは歓迎されました。
セラミックの脆さを改善するために開発されたサーメット工具は、炭化チタンとニッケル、モリブデンなどを一緒に焼成したものがベースとなっています。鉄との親和性が低く、構成刃先(溶着物)が発生しにくいため、仕上げ面や寸法精度が向上します。
この優れた特性により、サーメット工具は溝入れ加工、ベアリング加工、小型部品加工などの分野でなくてはならない工具として、50年以上にわたって活躍しています。

SSバイト

SS tools

1988年、小物部品を加工する小型旋盤、自動旋盤に用いて切削する工具である「SSバイト」を発売しました。バイトとは和製英語で、語源はドイツ語、オランダ語、英語など諸説ありますが、先端に刃先がついた鑿(のみ)と言えます。
「SSバイト」はさまざまな刃先、形状でシリーズとして発売し、自動車、時計、カメラ、家電、OA機器など多彩な分野に貢献しています。
切れ味に最も重点を置いてシャープな刃形とし、切りくずの処理に優れ、仕上げ面がきれいになるサーメットの特性を活かしたものです。
2000年ごろには、アメリカの航空機、鉄鋼業界の低迷などで「SSバイト」は厳しい状況を迎えますが、その後の国内でのパソコン、OA機器での使用が進み、シェアを大幅に伸ばすこととなりました。
豊富な品揃えにより、市場から高い評価を得ています。

微粒子超硬合金工具(コーティングチップ)

Micro-grain Carbide Insert

強靭な工具が要求される鋼のフライス加工や旋削加工、シャフトへの溝入れ加工などには、超硬な母材にCVD*法によるコーティングを施した製品を使用することが一般的です。当社の機械工具事業をさらに拡大するには、この超硬分野への参入は避けては通れない課題であったことから、研究開発に着手。その結果、独自の微粒子超硬合金を開発し、1989年、超硬工具をラインアップに加えることができました。また、CVD*法で解決できない課題に対し、物理的手法で気相蒸着をおこなうPVD*法を用いて解決し、これらの要素技術を組み合わせ、1993年には新製品を投入。自動車産業の生産ラインが抱えていた諸問題に対するひとつの解決案として受け入れられ、ラインの無人化に大きく貢献し、「究極の工具」と言われるまでになりました。

*CVD(Chemical Vapor Deposition):化学気相蒸着。物質に薄膜を形成する蒸着法のひとつ。原料ガスを供給して気相での化学反応により膜を堆積させる。切削工具の表面処理や半導体素子の製造工程において一般的に使用される。

*PVD(Physical Vapor Deposition):物理気相蒸着。物質の表面に薄膜を形成する蒸着法のひとつ。物質の表面に物理的手法を用い、気相中で目的とする物質の薄膜を堆積させる。こちらも、切削工具や各種金型への表面処理や、半導体素子の製造工程において一般的に使用される。

バイデミックス

BIDEMICS

バイデミックスは、航空機用部品を切削するための新たなジャンルの工具です。
新興国市場の経済発展による物流や人の交流が活発化するとともに、世界的な航空規制緩和によるLCCの台頭により、航空機産業の需要は非常に高まっています。
当社は1950年代後半から切削工具事業に携わり、その製品は航空機産業でも利用されてきました。常に新しい素材や工具の開発に取り組んできましたが、中でも航空機分野に貢献できる画期的な新素材の創造に向けた研究開発に注力し、2015年、これまでにない新素材であるバイデミックスを国内で発売を開始しました。
航空機の部品は非常に高額であり、工具の摩耗によって部品に影響を出すことは許されません。強さと硬さを兼ね備え、生産効率を上げる新素材であり、従来と比べ2倍以上の性能を出すこの工具は、市場からは驚きを持って受け入れられました。

Timeline:

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