Our Stories 08 品質を支える計測技術

Story 08世界市場をリードする品質は、
ものづくりの原点、
計測技術が守る。

製品の品質を保証するには、品質を守る仕組みと技術、そして正確で精密な計測機器とそれを使いこなす技術が必要だ。
日本特殊陶業が世界に送り出す製品は、何千何万もの計測機器が支えている。
世界のどこの工場でも計測する機器の精度を高く保ち、誰にでも正しく使える技術を身に付けさせる。
そんな仕事に全てのエネルギーを注ぐのが、計測技術課だ。
事業のグローバル化とともに、計測に関わるハードとソフトの標準化、そのレベルアップ、そして人づくりの取り組みを着実に展開している。

湯本:品質保証を土台から支える計測技術の標準化とレベルアップをグローバルに推進

アリフ:マレーシア出身。計測技術教育をグローバルに展開

ものづくりを基礎から支え、品質を守る
1,000種を超える計測機器。

日本特殊陶業の工場では、おなじみのノギスやマイクロメーターをはじめ、温度計、圧力計、電流計、電圧計、ゲージなどさまざまな計測機器が使われている。
これらの計測機器の生命線は「正確さ」だ。そのため、ものづくり現場では、計測機器が正確かどうかを検査する校正(キャリブレーション)が欠かせない。
計測技術課は、この校正作業、さらには、それを日本特殊陶業グループとして全世界同じ水準でできるように管理をおこなう。
「当社で使っている計測機器は、実に1,000種類を超えます。個数でいうと本社国内工場だけで5万ぐらい。国内外のグループ会社を含めるとその数は膨大なものとなりますが、一つとしておろそかにはできません。私たちは、その校正業務に責任を負っています」、と語る計測技術課の湯本。
各工場には、計測機器を検査する技能を持った校正者がいる。多くの機器を常に正確に保つため、各工場に配置された校正者の技能レベルを高める教育も計測技術課の仕事だ。

湯本たちの任務は、それだけにとどまらない。校正者を直接育成することはもちろんのこと、各工場で校正者を育て、その中から技能マスターと呼ばれる認定された指導者も育成する。技能マスターに認定されれば、校正者の育成ができるため、各工場内で計測の仕組みも構築できる。また、ものづくりに関わる多くの従業員が、計測機器を正しく使えるように教育することも重要な仕事だ。

グローバルで求められる
計測技術や校正業務。

近年、事業のさらなるグローバル展開や製品の高度化とともに、校正者の果たす役割がますます大きくなっている。
「世界市場に向けて高い品質をお客さまに保証するため、計測技術をグローバルな規模で見直し、再構築するための活動を進めています。本社はもちろんのこと、国内外のグループ会社での計測レベルを合わせるために、私たちの取り組みの重要性が格段に高まってきたと思います」、と湯本。

世界各地にある工場での計測のレベルをより厳密に合わせるために、計測技術の標準化や校正者教育のニーズがますます高まっている。そこで、海外工場での計測管理支援をさらに強化し、本社からの出張も増やした。
「適切な計測管理をおこなうためには、計測レベルの向上だけでなく、現場の計測管理の状態を良い状態に保つ必要があります。日本では、以前から計測管理状態の確認、責任者や担当者への説明会の実施や使い方の教育を展開していましたが、現在は私たちが海外に直接出向いて、現地スタッフの計測管理力の強化をおこなっています」。

キャリアを積んだ技能者に、
計測機器の使い方を再教育する
コミュニケーションの難しさ。

「海外の現地スタッフに教育するためには、言葉の壁はもちろんのこと、文化の違いなど、さまざま考慮しなければなりません。特に、インドでの教育は、記憶に残っていますね」、と語るのはマレーシア出身のアリフだ。海外工場への支援業務を中心に、グローバルでの教育を担当している。

2016年の夏、湯本とアリフは、インド北部のハリヤナ州にあるプラグ生産工場に出向いていた。
海外の工場にもこれまでに校正や計測に関する仕組みがもちろんあったが、現地と本社との間にわずかな「ずれ」がないかどうか確認するとともに、現地の校正者の教育や計測技術をマスターし後進に伝える新たな技能マスターの認定に取り組むためだ。

もともと、インドには過去にも教育のために行ったことがあるが、海外工場は、人の入れ替えが激しく、折角認定したスタッフが辞めてしまうことも少なくない。
「現地スタッフの中に、マイクロメーターの使い方が我流の人がいました。彼は、長年そのやり方でやってきていましたし、キャリアも自信もあるベテラン。そういうスタッフに教育することは簡単ではありませんが、これまで培ってきた経験から、彼に正しい使い方を教育し、理解してもらうことができました。そして、最終的には、インドで技能マスター1名、校正者4名を認定することができました」、とアリフ。「また、日本や東南アジアでは理解するとうなずきますが、インドの人は首を横に振る。最初は分からないのかと思いましたが、よくよく聞くとそれは分かったよという意味。これは単なる仕草の違いですが、伝えることと伝わることは違うな、と実感しましたね」と振り返る。
「今は、海外工場の技能マスターを合わせると8人ですが、今後も増やしていきたいですね」、と湯本も語る。

グローバルでのレベルアップに向けて、
さらなる展開を目指す。

インドでの取り組みのように、グローバルでの計測技術のレベルアップに対するニーズは、今後ますます加速していく。
しかし、それは単純な画一化ではなく、それぞれの国や地域の特性に応じてカスタマイズしていくことも求められる。

例えば、校正には専用の校正室が必要であり、校正室の管理方法も標準化されるよう教育をおこなっている。しかし、日本には四季があるのできめ細やかな温度管理が必要だが、気候風土は国によってさまざまだ。
「日本のやり方だけを押し付けるのではなく、各工場の状況も考えながら、柔軟に、しかし、計測に狂いが生じないような対応の仕方を教育しています」と、湯本は説明する。
「今後のグローバルな標準化と現地化を両立させていくには、海外工場とのコミュニケーションを密に取ることが大切だと感じています。何か困ったことがあれば、すぐに私たちに相談してもらえるようにサポート体制も整えているところです。また、基本や大切な考え方、機器の使い方のコツのようなものを、マニュアルに頼るだけではなく直接伝えることが重要だと思っています」。

「現在、主要な13の海外製造拠点で、校正者の認定は終了しています。今後の課題は、技能マスターをさらに展開していくこと、現地での教育体制を充実させていくことです。標準化・見える化・未然防止という考え方への意識が、日本と比べて海外は低いように感じています。日本のものづくりの考え方をもっと世界に発信していきたいですね。計測は、品質の『ものさし』ですから」と、目を輝かせるアリフ。

彼らが活躍するフィールドは、これからもさらに広がっていきそうだ。