Information Disclosure Based on TCFD RecommendationsTCFD提言に基づく情報開示

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当社グループは、2020年7月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明しました。
TCFDの提言に沿って、気候変動に関する重要情報を以下の通り開示します。

ガバナンス

当社グループは、気候変動を含む環境問題は、重要な経営課題であると認識しています。
気候変動に関する経営の方向性については、委員長を社長とし、社外取締役を含む全取締役が出席するCSR・サステナビリティ委員会(年2回開催)にてレビュー・監視しています。具体的な活動については、CSR・サステナビリティ委員会の下に設置する環境委員会(年2回開催)において、目標の進捗や課題の確認をおこない、継続的改善を図っています。また、気候変動に関するリスクについては、リスクマネジメント委員会(年2回開催)において、全社的リスクマネジメントの中で評価しています。

これまでに気候変動に関して議論され決定された例

  • 優先的に取り組む課題「CO排出量:30%削減 [2018年度比](2030年度)」の承認(2020年3月CSR・サステナビリティ委員会)
  • TCFD提言への賛同表明(2020年7月経営会議)
  • 「エコビジョン2030」の承認(2021年3月環境委員会)
  • 「2050年に向けてカーボンニュートラルを目指す」の承認(2021年3月CSR・サステナビリティ委員会)

戦略(リスク・機会)

気候関連のリスク

気候関連のリスクについては、主に2℃シナリオの途上に起こる「低炭素経済への移行に関するリスク」と、世界のCO2排出量削減未達により4℃シナリオに至った場合に発生する「気候変動による物理的変化に関するリスク」について、TCFDの分類に沿って検討しました。

<検討に用いた主なシナリオや予測>
2℃シナリオ:IPCC RCP2.6、IEA ETP 2DS など
4℃シナリオ:IPCC RCP8.5、IHS Markit Automotiveの“Mobility and Energy Future” サービスデータ など

なお、ここでいう短期、中期、長期は、次の通りです。
短期:中期経営計画の目標年度に合わせた2025年頃まで
中期:長期経営計画の目標年度に合わせた2030年頃まで
長期:長期経営計画の目指す姿に合わせた2040年頃まで

リスク項目 事業インパクト(リスク) 評価
(影響度)
リスクが
現れる時期
低炭素経済への移行に関するリスク 政策・
法規制
炭素税 ・炭素税が導入されると燃料調達コストに税金が課されることになるため、エネルギーコストや原材料コストが増加する。 短期~長期
国境炭素税 ・国境炭素税が導入されると、輸出する製品に課税されることになるため、製品の価格競争力が低下する。 短期~長期
炭素排出規制 ・GHG削減目標の達成が求められ、設備投資や再エネ電力購入等の対応コストが増加する。 短期~長期
ガソリン車販売 ・ガソリン車の新車販売を禁止する国では、OEM需要が無くなり、売上が減少する。 中期~長期
技術 省エネ・再エネ技術の普及 ・新たな省エネ・再エネ技術を導入するために、設備投資等の対応コストが増加する。 中~大 短期~長期
新技術開発 ・新技術への研究開発の投資コストが増加する。 短期~長期
市場 顧客の変化 ・2030年代以降に中古車でもZEVを選ぶ人が増え、プラグの交換需要が減少し、売上が減少する。
・ライフサイクルでのCO2排出量が少ない製品が選ばれるようになり、従来品の売上が減少する。
長期
評判 投資家の変化 ・内燃機関への風当たりが強くなり、ダイベストメントの対象となる。 小~中 中期~長期
求職者の変化 ・内燃機関への風当たりが強くなり、就職先として選ばれなくなる。 小~中 短期~中期
気候変動による物理的変化に関するリスク 急性 異常気象の激甚化 ・台風等によって工場等への被害が発生し、操業停止や生産減少などが起こる。また、設備復旧への追加コスト等が発生する。損害保険料も増加する。 小~中 短期~長期
慢性 海面の上昇 ・海面上昇に伴って洪水や高潮が増加し、沿岸部にある工場や交通インフラが被害を受けてサプライチェーンが寸断され、対応コストが発生する。 小~中 長期
降水・気象パターンの変化 ・水不足が深刻化する地域にある工場で水利用が制限され、操業を停止・減少せざるを得なくなり、別工場での生産や輸送などの対応コストが発生する。 小~中 長期
平均気温の上昇 ・猛暑の中で働く従業員に熱中症が頻発し、体力的な負担が増加するため、猛暑対応のためのコストや人件費が増加する。 小~中 長期

また、主要な事業拠点を対象に、現状の洪水・渇水・高潮等のリスクポテンシャル調査を行い、想定される被害の程度や頻度を勘案した結果、深刻な被害が発生する可能性は低いことが分かりました。
今後は、将来のリスクの変化も踏まえた評価を含め、物理リスクの把握を引き続き実施し、必要な対策を行っていきます。

気候関連の機会

気候関連の機会については、「気候変動緩和策・適応策による経営改革の機会」について、TCFDの分類に沿って検討しました。

側面 主な機会
資源の効率性 ・新たな省エネ・再エネ技術の社内への導入が進み、エネルギーコストが減少する。
エネルギー源 ・炭素税が課税されない燃料として水素の需要が高まり、水素エネルギー市場で新たな機会が生まれる。
製品/サービス ・燃費規制に対応していくために、高付加価値製品の需要が増える。
・GHG削減が義務化されることで水素エネルギー市場が拡大すると予想され、水素関連技術やSOFCの需要が高まって、ビジネス機会が生まれる。
・災害に備えて、エネルギーの地産地消(分散型の発電)が注目され、SOFCの需要が高まる。
市場 ・社会のニーズを捉えた気候変動に関連する新技術を開発することで、ビジネス機会が生まれる。
強靭性(レジリエンス) ・災害に備えて、サプライチェーンも含めてBCM/BCPを継続的に強化していくことで、レジリエンスが高まる。

気候関連シナリオに基づく事業のリスクと機会とその対応

気候変動のリスクと機会をより具体的にするため、各事業について、2℃および4℃シナリオ下における事業環境とその対応について検討しました。

その結果、物理的リスクについての致命的な影響は見受けられませんでした。
事業については、現在、売上収益の8割を占める内燃機関に関連する事業が大きな変革を迫られていること、その一方で、脱炭素社会の実現に向けて、水素関連をはじめとして新たなニーズや市場が期待されることから、「2030 長期経営計画 日特BX」において、今後注力する事業分野の一つに「環境・エネルギー」を掲げ、2040年に向けて事業ポートフォリオ転換(内燃機関事業40%、非内燃機関事業60%)を進めていきます。

検討対象とした事業 製品 今後の事業リスクと事業機会への対応 財務面の影響 長期経営計画での売上収益目標
自動車関連事業 スパークプラグ、グロープラグ、センサー 2℃シナリオ下では、内燃機関を有する自動車への規制が厳しくなることで、将来、内燃機関部品の売上減少が想定される。一方で、電動車市場などの新市場への機会が生じる。
4℃シナリオ下では、内燃機関のさらなる省エネと有害ガスの排出抑制が求められるため、高性能化への対応を行う。
売上収益3,386億円(2020年度)の一部に影響 4,500億円(2029年度)
燃料電池事業 燃料電池 2℃/4℃のいずれのシナリオ下においても非化石エネルギーの需要拡大が予想されるため、当該市場への対応を引き続き強化。
2℃シナリオにおいては、水素インフラの普及が予想され、加速的に市場が増える可能性がある。
売上収益836億円(2020年度)の一部に影響 3,000億円(2029年度)
その他の事業 SPE、パッケージ、酸素濃縮装置、切削工具、ベアリング用ボールなど 2℃/4℃のいずれのシナリオにおいても、リスクおよび機会への影響は小さい。
  • 自動車関連事業は2℃シナリオ下において、規制強化により将来的に売上減少が見込まれるため、事業ポートフォリオ転換が必要である。
  • その他の事業については、2℃および4℃いずれのシナリオ下においても、市場の動向を注視し、柔軟かつ戦略的に事業を展開しており、中・長期の観点からも高いレジリエンス性を有している。

リスク管理

当社グループはグローバルかつ多くの分野で事業を展開しており、事業ごとにさまざまなリスクと機会があることから、事業カンパニーごとにリスクと機会を把握して、それぞれに対応しています。気候変動に関するリスクと機会もその中で対応しています。
リスクマネジメント委員会では、リスクについて、全社的見地で事業活動に大きな影響を及ぼすか否かを評価しています。重要と評価されたリスクは「優先リスク」として主管部門を決め、その対策状況を確認しています。
また、CSR・サステナビリティ委員会では、重要な機会について確認し、必要に応じて経営戦略や優先的に取り組む課題に反映しています。

指標と目標

当社グループは、2020年5月に発表した長期経営計画「日特BX」において、「CO2排出量:30%削減 [2018年度比](2030年度)」という目標を掲げています。
また、長期的な視野で環境保全活動を進めるため、2021年4月に「エコビジョン2030」を策定し、その中で2050年に向けてカーボンニュートラルを目指すという長期目標を掲げました。

サプライチェーン全体での排出削減にも取り組んでいます。お取引先さま(サプライヤー)に対してはCO2の削減目標を設定して取り組むよう求めており、適宜支援をおこなっていきます。